法律の文言には、どんな解釈をしても乗り越えることのできない枠があります。たとえば「秘密」は、その法律でどんな定義をされていたとしても、「秘密」といえるものでなければならない。
「秘密保護法」と呼ばれている法律は既に存在していますが、その法律では次のように定義しています。
日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法
第一条 この法律において「日米相互防衛援助協定等」とは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定及び日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定をいう。
2 この法律において「装備品等」とは、船舶、航空機、武器、弾薬その他の装備品及び資材をいう。
3 この法律において「特別防衛秘密」とは、左に掲げる事項及びこれらの事項に係る文書、図画又は物件で、公になつていないものをいう。
「秘密」という言葉を使う以上、どんな解釈をしても、「公知でない」ことが条件になります。
また、上記の法律は、「特別防衛秘密を探知し、又は収集」「陰謀」「せん動」などの行為をも処罰しています。煽動や陰謀を処罰している法律は、外患誘致罪など他にもあります。
要するに、ネットにゴロゴロ転がっている情報は、どんな理屈をつけても「秘密」にはなりません。したがって、ネットの情報を拾って論評しているだけのヒキコモリの反体制ブロガーが特定秘密保護法を怖れる理由はありません。また、外国語で既に公開されている情報を日本語に訳して紹介しても秘密の暴露にはなりません。(これが秘密の暴露になると考える人がいるとしたら、恐ろしい土百姓か戦前の人だと思います)。
みんなが知っていることを公開して罪になる場合もありますが、たとえば猥褻物陳列罪とかですが、それは「秘所」だからであって「秘密」だからではありません。
共謀、陰謀、煽動などは、今ある法律でもでたらめな運用をすれば人権はいくらでも侵害できます。それを許してしまうかどうかは、法律の問題というより、国民自身の問題です。
私は、天皇制は廃止すべきであると考えており、ロシアが好きなのでロシア軍が東京まで占領して天皇を廃位させてくれることを希望しています。毎晩その陰謀をめぐらしていますが、外患誘致罪の陰謀にあたるかもしれませんが、ぜんぜん逮捕されません。
特定秘密保護法案に関連して問題があるとすれば、「弾圧」ではなく、過剰同調でしょう。これは日本国民自身の問題です。憲法でプレスの自由が十分に保障されているにもかかわらず、自主規制をして記者クラブを作り、集団になって自分の自由を捨てる。日本人に自由がないのは、国民自身が自発的に自分の自由を制限して全体に同調しようとするからでしょう。
国家と個人は永久に対立し常に緊張関係にあるものであり、国家と個人の間には冷戦はあっても和合はないのだということを、日本人一人ひとりが受け入れられない限り、自由を知ることもないのだと思います。国が自由を保障してくれないなどという不平はお笑いです。私は、日本人が自分たちの力で天皇制を廃止できない限り、日本人が本当に自由になることはないし、自由にふさわしくもないのだと考えています。